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Kurt Narmore(NOON GOONS)

Kurt Narmore(NOON GOONS)

RHC Journal

Posted on Oct 17.2024

“Do what you dig”——「自分が心から好きなことをしなよ」。 「NOON GOONS」(ヌーン・グーンズ) のデザイナーKurt Narmore(カート・ナーモア)が、インタビューの最後で口にした言葉だ。NOON GOONSは、1980年代のカリフォルニアのスケート、サーフィンなどのユースカルチャーに根差したロサンゼルス発のブランドだ。グラフィックTシャツ、ボードショーツ、ワークシャツなどベーシックなアイテムながら、そこには南カリフォルニアのハードコアなストリートカルチャーのエッセンスが凝縮されている。自由でファン、とがっていながらも、マテリアルとディテールにこだわったプロダクトは、西海岸という枠を超えてヨーロッパや日本でも、人気を呼んでいる。カートの80年代への強い憧憬、文字通り好きなものをひたすら追求して誕生したのが、NOON GOONSなのだ。カート・ナーモアとはどんな人物なのか。ロサンゼルスのダウンタウンのスタジオを訪ねて、話を聞いた。


スケートボードのランページ、サーフボード、バイクなど、1980年代の南カリフォルニアのストリートカルチャーの空気が色濃い「NOON GOONS」(ヌーン・グーンズ) のスタジオ

——カート、今日は時間をとってくれてありがとう。まずはバックグラウンドについて聞かせてもらえるかな。

生まれも育ちも南カリフォルニアだけど、父親がスノーボードビジネス「ソニックスノーボード」を経営していたから、特別な幼少期を過ごした。スノーボードやスケートボード、ウェイクボードに囲まれたアクションスポーツのブームの中で育ったことが、若いころの自分に大きな影響与えたんだ。2001年に父親が亡くなってしまったんだけど、人生のタフな転機だった。それはそうと、若いころは、スケートボードをしていない時は、絵を描いていた。13歳でシルクスクリーンプリントを学び、地元のスケートパーク「ブリッキヤード」のために最初のTシャツをデザインしたんだ。この経験がNOON GOONSのインスピレーションとなり、 “go big or go home” (本気でやるか、さもなくばやめてしまえ)という態度を表すブランドが生まれたのさ。今、37歳となり、20年以上の服づくりの経験を持つ。自分のデザインは成熟し、特に2024年秋冬コレクションでは、タイムレスさとひかえめさが反映されている。ミニマルなブランディングと質の高さに焦点を当てているのさ。


ロサンゼルスのダウンタウンでの服づくりにこだわる。創業者でデザイナーのKurt Narmore(カート・ナーモア)にとって、ここは特別な地。「ロサンゼルスの東、クルマで1時間ほどのリバーサイドで生まれたんだ。この街への愛は、友達とハリウッド・ハイやダウンタウンのスケートスポットを回っていたころから変わらない」

——NOON GOONSは、1980年代のスケートとサーフカルチャーに大きな影響を受けているけど、カートにとってどんな時代なのかな。

父親のスノーボードショップや、ハンティントンビーチで開催されたサーフィンの全米オープンや、アナハイムポンドでの「ジェット・ジャム」のイベントなど、幼少期の記憶からインスピレーションを受けている。1990年代の南カリフォルニアで、No DoubtやSublimeのようなバンドを聴いて育ったことが、青春を形作り、ブランドのルックにも影響を与えたんだ。トミー・リー、クリスチャン・フレッチャー、デニス・ロッドマン、トニー・アルバ、ジェイ・アダムスといったスタイルアイコンは、真の個性主義者であり、そのユニークなスタイルをとてもリスペクトしている。


1980年代のスタイルアイコンから大きなインスピレーションを受けたカート。当時の雑誌や写真集、プロダクトは宝物

——2016年のブランド創設以来、NOON GOONSとRHCロンハーマンはずっとパートナーシップを続けているね。

RHCとのパートナーシップは、ビジネス以上のもので、ファミリーのようなものだよ。RHCのチームは友達のような存在だから、さらに楽しいよね。サーフィンやスケートボードといった大好きなことに情熱を共有できるスタッフと一緒に仕事ができることは、本当にラッキーだ。ファッションのビジネス側が時にはクリエイティビティを抑えることがあるけど、RHCとは一度もそんなことはない。それが、このコラボレーションを際立たせていると思うよ。

——今シーズンもコラボレーションを展開するけど、コンセプトを教えて。

「カーディフカーディガン」のインスピレーションは、カリフォルニアのビーチスタイルから生まれている。朝のサーフィンの後にぴったり。ウエットスーツから、シンプルなTシャツ、そしてカーディフカーディガンに着替えるだけで、スタイリッシュでありながら洗練されたルックが完成する。このカーディガンの名前は、お気に入りのサーフスポットの一つ、南カリフォルニア、エンシニータスのカーディフに由来している。このスポットは、サーフィンとファッションの歴史が豊かな場所なんだ。


今シーズン、RHCロンハーマンが別注した「カーディフカーディガン」。「クラシックなフィット感のフルファッションのセーターカーディガン。デザインにひねりを加えている。ヘザーグレーのタイガー柄、レオパード柄、アーガイル柄、そしてお気に入りのクラシックなタータンチェックを展開している」

——カートにとって、ファッションとは。

ファッションは常に自分の逃避場所だった。父親が亡くなった後、ファッションが唯一の救いだった。地元のスケートショップで何時間も過ごし、いろんなブランドからインスピレーションを受けていた。グラフィックのエネルギー、スケートカルチャーの雰囲気、そのすべてが魅力的で、いつも新しい何かに飛び込むことができたんだ。それが自分を刺激し、想像力を解き放った。自分にとって、ファッションは夢を形にし、頭の中のあいまいな考えを具体的なものに変えてくれる手段なのさ。

——最後にメッセージをもらえるかな。

Do what you dig.(自分が心から好きなことをしなよ)

——今日はどうもありがとう。


あこがれである1980年代を仲間のスケーターやサーファーとともに追いかけて、NOON GOONSを誕生させた。そのエネルギーの源は、自分が好きなことに全力で挑むこと

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