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OUTERKNOWN

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RHC Journal

Posted on Aug 22.2024

Kelly Slater(ケリー・スレーター)世界でもっとも名前が知られているサーファーの一人だ。18 歳でプロサーファーとして アメリカで頭角を表すと、1992 年、20 歳で当時最年少で世界チャピオンに輝いた。以後、コンペティターとしての王道を躍進 して、通算11 度の世界チャンピオンを獲得。それまで誰もなしとげたことがない前人未到の偉業だ。52 歳になった現在でも、 プロサーファーとして頂点に挑み続ける姿勢は、まさにサーフィン界の「キング」と言っていいだろう。


サーフィン界の王様、Kelly Slater(ケリー・スレーター)。コンペンティションでの圧倒的な強さに加えて、サーフィンにピュアに向き合う姿にリスペクトを集める 下:カリフォルニア、カルバーシティにある「OUTERKNOWN」(アウターノウン)のヘッドオフィス。西海岸らしい自由な空気に満ちている

2015 年、サーフィン業界にビッグニュースが飛び込んだ。ケリーが20 年以上にわたりスポンサードされてきた大手サーフアパレルとの契約を解消して、自らブランドを立ち上げたのだ。それが「OUTERKNOWN」(アウターノウン)だ。さて、どのようなアイテムがローンチされるのか……。初めて目にした多くのサーファーが、大いに驚き、そして、なるほどと納得することに。デザインは洗練されていてモダン。ビーチだけでなく街や旅でもフィットするようなシームレス、そして、サーファーだけでなく着る人を選ばない多様性。それまでのサーフウエアと一線をかくしていた。また、自然環境に負荷をかけない、サステナブルでエシカルな服づくりへの徹底したこだわり。海の環境保護の活動に長年専心してきたケリーならではだった。

この2 面性をOUTERKNOWN として融合させた主役が、クリエイティブ・ディレクターのJohn Moore(ジョン・ムーア)だ。ケリーとは、彼が契約していたアパレルブランドで長年にわたりパートナーシップと友情を築き、お互いの価値観を同じくしてきた。「ケリーと僕は以前のプロジェクトで一緒に仕事をしていたんだ。もちろん、僕はサーフィンを通じて彼のことをずっと知っていたし、生涯のファンと言ってもいい。僕たちはデザインの美学と人と異なることに挑戦したいという、共通の願望を持っていることに気づいていた。そして、そのプロジェクトがどうしようもない理由で続けられなくなった時、僕たちはOUTERKNOWN を始めようと決めたんだ」と、ジョンは当時を振り返る。


OUTERKNOWN のクリエイティブ・ディレクターJohn Moore(ジョン・ムーア)。ケリーとともにOUTERKNOWN を成長させてきた。コアなサーファーでありながらメローな人柄が品のあるデザインに反映される

ブランド名の「OUTER KNOWN」は、「知識の果てにあるもの」を意味するジョンによる造語だ。そこに込めた思いは何だろうか。「日本の『 生きがい 』という概念に近いと思うよ。OUTER KNOWN を見つけることは、『生きがい 』に従うことに似ている。自分の情熱を優先させることが大切。好きなことハッピーなことを見つけて、それをやり続けること。それが喜びをもたらし、精神を高揚させ、周りのすべてがスローダウンするならば……自分はその中にいる。それがOUTER KNOWN なのさ」
OUTERKNOWN はケリー・スレーターのブランドと捉えられることがあるが、それは正しくない。二人が両輪となってブランドを前進させているのだ。「僕の役割は、デザインとブランド体験の点と点をつなぐこと。 ストーリーテラーと言えるんじゃないかな。 ケリーはサーフトリップで世界中を飛び回り、多くのことを直接体験して、旅先からアイデアやインスピレーションを僕たちに送ってくれるんだ」。ケリーがサーフィンやトリップで得たものを、語り部のごとく、ジョンがデザインとして表現しているのだ。


上:ジョンのオフィスルームの天井にはヴィンテージボードがディスプレイされ、壁には昔のサーフフォトが 下:OUTERKNOWN のコンセプトをもっとも体現しているのがベストセラーの「ブランケットシャツ」。「朝イチの波チェックに着ていくこともできるし、そのまま仕事に行き、夜はディナーにも。 いろいろな可能性を秘めたアイテムなんだ。 カントリー、山、砂漠、都会、ビーチ、どこに住んでいても活躍するよ」とジョン

服づくりをする上での大前提は、「自分たちが着たいと思う服を、自分たちが信じるプロセスでつくる」ということ。「その意味で、OUTERKNOWN は従来のサーフブランドとは一線を画す存在でありたいと常に考えてきた。僕たちサーファーは海でもっともハッピーな時間を過ごしている。だけど、僕とケリーは起業家であり、世界市民でもある。世界中を旅すること、あるいはただ一日旅をするだけでも、多用途性がカギとなる。つまり、一日中着ていても快適だと感じられるアイテムをつくりたかったのさ。サーファーだけでなく、さまざまな方法で『知識の果てにあるもの』を見つけようとする人たちのためにね」。
そんなジョンが今、「一番自分が着たい服」として手がけたのが、アメリカを代表するワークパンツDickies( ディッキーズ)だ。
そのきっかけをたずねると……。「実は『Dickies for RHC』のチノパンツが大好きなんだ。それでOUTERKNOWN でもコラボしたくなったんだよ」と笑う。「デザインはクラシカルで、僕が子どものころにはいていたDickies に忠実なものにしたかった。おそらくオーガニックコットンでつくられた初めてのDeckies じゃないかな」。日本でRHC とDickies がコラボしたパンツに出合ってから愛用するようになったジョン。今回のOUTERKNOWN の別注アイテムは、コンセプトの逆輸入といってもいいだろう。


ジョンが愛着している「Dickies for RHC」に刺激を受けて、OUTERKNOWN もDickies とコラボ。メンズとウイメンズともに展開。日本の実店舗ではRHC ロンハーマン、OUTERKNOWN 日本公式サイト、 OUTERKNOWN 取扱店で購入できる 下:Dickies とのコラボパンツを手に、「ブランドロゴを一新して、同系色のバックラベルにOUTERKNOWN とDickies のロックアップを描いたのがとてもクール。キーリングも追加したよ」

「僕は個人的なスタイルが好きで、それは時間とともに進化していく。着る服が、その人自身の一部となるようにね。 もちろんOUTERKNOWN をよく着るけれど、ヴィンテージも好きなんだ。 それはファッションとは正反対で、着る服に心地よさを感じるからなんだ。25 年間、愛用している服もあるよ。それらは僕にとって本当に大切なものだ。かつてイタリアを旅行中に大好きなバッグが行方不明になってしまったことがある。もう二度とあのアイテムが使えないのかと思うと、とてもつらかった。そうやって僕はデザインについて考える。一生のお気に入りに何を加えようかとね」。そう、ジョンにとってファッションは一過性のトレンドではなく、自分の心に訴えるか否か、そして、自分の人生の一部であるのだ。OUTERKNOWN は、これからもジョン・ムーアとケリー・スレーターの二人によって、「知識の果てにあるもの」に向かって進んでいくのだろう。


インタビューにもお気に入りのDickies とコラボパンツをはいてきたジョン。最後にRHC ロンハーマンのお客様にメッセージを。「この 10 年間、OUTERKNOWN がRHC ロンハーマンや皆さん のすばらしいコミュニティとともに成長してきたことを、とてもうれしく思っています。1996 年の初来日以来、ラッキーにも数え切れないほど何度も訪れることができた。そして、いつもまた訪れたいと思っている。日本のすべてのカルチャー、そして人々の温かさは、僕にとって常に感じている引力のようなもの。ありがとう!」

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