ジュエリーは、この世に二つとして同じものはありません。なぜなら、その一つ一つに持ち主のかけがえのない思い出が宿っているからです。誕生日、婚約、結婚、出産、お祝い、何かの記念に……。人生の節目で、愛する人から贈られたり、自分で手にしたりと、ジュエリーはその方が時とともに紡いできた物語といってもいいでしょう。そして、親から子、次の世代へと、大切なストーリーとともに受け継がれていくのです。ですが、尊い存在ゆえに身につけることができず、クローゼットに眠ってしまっていることも少なくはありません。もっと気軽に日々のコーディネイトとして楽しむことができたら……。前に身に着けていた方も喜び、いろいろな人の想いがつながっていくはずです。そんなジュエリーたちに新しい命を吹きこみたい。それが「Reborn Project」(リボーンプロジェクト)なのです。
今回の「Reborn Project」(リボーンプロジェクト)を手がけたジュエリーデザイナーのMizuki Goltz(ミズキ・ゴルツ)さん。1996年ニューヨークで自分の名前を冠したファインジュエリーブランドをスタートさせた。「お客様にとってジュエリーのリメイクは初めてのことだと思います。ですから、本当に特別なもの、これが『MIZUKI』のスタイルなんだ、と喜んでいただきたいです」
このプロジェクトのスタートは2020年にさかのぼります。当時、ロンハーマンは“Love for Tomorrow”という、今でも大切にし続けているスローガンを掲げました。ファッション業界は世界で第2位の汚染産業で環境に大きな負荷を与えている。私たちはその現状を知り、明日の未来を幸せなものにするために自分たちができることを取り組む決意をしました。“Happiness is the Goal.”。ロンハーマンが大切にしているスローガンの一つですが、お客様をはじめ多くの方を微力ながらハッピーにしたい。そのために私たちが愛してやまないジュエリーを切り口に、何かができるのではないか。そして、思いついたのが、ジュエリーに新しい命を宿して、よみがえらせることでした。
お客様がお持ちいただいたリング、ピアス、ネックレスなどのジュエリーを、「MIZUKI」のシグネチャーである18Kイエローゴールドとフレッシュウォーターパールを使ったオープンリングで新たな魅力を加えてよみがえらせる。ロンハーマン千駄ヶ谷店でオーダー受付中
まず始めにしたことは、ロンハーマンと深いつながりがあり、私たちのことをよく理解してくれているジュエリーデザイナーに相談をすることでした。そして、深く共鳴してくれた一人が、Mizuki Goltz(ミズキ・ゴルツ)さんだったのです。エレガントで美しくモダンなデザインで多くのファンに支持される、ロンハーマンでも人気のファインジュエリーブランドです。「私は長くロンハーマンとお仕事をさせていただいています。ロンハーマンのコミュニティや環境との調和をはかるビジネスの進め方に賛同し魅力を感じてきました。今回の取り組みもすばらしくて、私にとってもかかわるべきだと思いました」と、Mizukiさんは振り返ります。ですが、その心中には、ためらいもありました。「『やりませんか』といわれて『いいわね、やりましょう!』と簡単に返事をして進めてしまうのには、あまりにも繊細すぎるプロジェクトだと思いました。お客様にとって、とても重要で深い意味のあることですから」。
MizukiさんとReborn Project発案者のバイヤー篠崎茜(しのざきあかね 写真右)。「Mizukiさんのジュエリーからは、本人の人柄であるエレガントな美しさとやさしさ、かっこよさが感じられます。お客様からも『MIZUKIを着ける日はすごく女性らしくなれる気がします』とお声をいただいています」
そんなMizukiさんをReborn Projectへ歩み寄らせたのは、自身のジュエリーへの情熱でした。「私にとってジュエリーづくりは、自分が愛する二つのものが完全に融合したものです。アートとファッション。もっとも情熱を感じ注ぐことができることなのです。ジュエリーを『生まれ変わらせる』ことは、お客様にとって、新しい始まりとなるものでなければなりません」。Mizukiさんと私たちの心が一つになってから、長い試行錯誤が始まりました。アームの太さ、ベゼルの角度、ベストなバランス……。試作を重ねて完成するまで、プロジェクトの始まりから5年の月日が経っていました。Reborn Projectのジュエリーを改めて見てみましょう。目を引くのはMizukiさんのシグネチャーであるフレッシュウォーターパールです。「この世に完璧なパールは存在しないと思います。女性も同じではないでしょうか。パールも一つ一つ、色や形が違います。ですが、女性もパールもどちらも美しい。パールは女性を象徴しているかのように思えます」。
Reborn Projectは今後も継続していくプロジェクト。そのために目がゆき届き信頼がおける国内のアトリエでリメイクを施す
とはいえ、Mizukiさんは、今回の主役であるお客様のジュエリーを引き立てることを大切にしています。「デザインはユニバーサルです。本当に色々な石が持ち込まれるでしょう。大きいかもしれないし小さいかもしれないし、形もさまざま。お客様がお持ちになる石と私が大好きなパールと共存できるデザインに仕上げます。お互いにその存在に敬意を表することができるような、決してお互いをじゃますることがないデザインを考えました」。お客様の貴石と寄り添うMIZUKIのジュエリーがかもし出す美しさ。世界に一つだけの特別なリングの誕生です。
熟練したジュエリー職人がひとつひとつハンドメイドで仕上げるために、完成までに3カ月もの時間がかかる。しかし、その出来栄えは納得のひと言
「指輪を受け継いだ母と一緒にいるような感じがします」。「祖母から母、そして私へ。自分の指輪が生まれ変わって祖母もうれしいと思います」。「父や姉、家族みんなが喜んでくれました」。「亡くなった母から譲り受けた指輪があるので、先日結婚した妻へプレゼントしたいです」。Reborn Projectの先がけとして、プロジェクトに賛同したロンハーマンのスタッフの声です。その声を耳にしてMizukiさんはこう語ります。「ジュエリーがお客様に何かを語りかけてくれることを望んでいます。このプロジェクトを通して今までとは違う何かを発見していただきたいです。お客様のお母様、お祖母様、ご自身が身に着けていらしたジュエリーをまた生まれ変わらせることで、新しい意味を与えて新たな一歩を踏み出すお役に立てることに感謝しています」。Reborn Projectはまだ生まれたばかり。ですが、これからも皆様の人生の物語のページを増やしていくお手伝いができたら、うれしい限りです。
今後はMizukiさんを始め、Reborn Projectに共感していただけるデザイナーとともにジュエリーに新たな命を宿していく 。
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MIZUKI Reborn Project
RHC Journal
Posted on Feb 21.2025
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