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STATE OF ESCAPE

STATE OF ESCAPE

RHC Journal

Posted on Nov 17.2025

「なんて素敵なの! 涙が出そうだわ」。目頭を指でぬぐいながら、そう口にするのは「STATE OF ESCAPE」(ステート オブ エスケープ)のデザイナー、ブリジット・マガウアンさんです。今秋オープンしたRHC ロンハーマン船橋店に、ブランド初となるショップ・イン・ショップがお目見え。お客様をお迎えするために、海外から駆けつけたのです。白を基調としたショップは、ガラス張りの壁から心地いい太陽の光が注ぎ、緑の木々が彩りを添えてナチュラルでさわやかな雰囲気を生み出しています。国内最多のSTATE OF ESCAPEのラインナップがそろい、その魅力を存分に味わっていただける特別なショップです。「美しく創造的な空間です。こんなに素晴らしいチャンスをいただき心から感謝します」と、ブリジットさんは興奮気味に口にします。



「ららぽーとTOKYO-BAY」のリニューアルにともない新しくオープンした「RHC ロンハーマン船橋店」。全国のRHC ロンハーマンで最大の売り場面積をもつ店舗に、「STATE OF ESCAPE」(ステート オブ エスケープ)のショップ・イン・ショップが誕生。記念すべき日に合わせて、デザイナーのブリジット・マガウアンさんが来日した


誕生して以来、世界中で人気を呼んでいるSTATE OF ESCAPEですが、多くのファンから愛される理由は、美しさと実用性の両立でしょう。シンプルなデザインで軽くて耐久性も高く、シーンを選ばずにシームレスに活躍します。「私はグラフィックデザイナーになりたかったのですが、それが大きく影響していると思います。バッグのデザインは見た目がまずは第一。そして、使う人の目的に合わせて機能的であることも大事。自分自身のデイリーライフから生まれたともいえます。子育て中のお母さんやお父さん、忙しく働くビジネスマン、さまざまなアイテムを一つのバッグに詰め込む必要があります。詰め込んでも見た目もよく、そのバッグを持っていることで安心感や心地よさをえられる、そんなバッグをつくりたかったんです。つまり、機能的なだけでなく、そのバッグを持つことで自分がどう感じるかが大切だと思ったんです」。



創業当初からブランドを支える共同創業者であり、CEOを務めるデズリー・メイドメントさん(右)と二人でアイデアを出し合って、STATE OF ESCAPEを指折りの人気ブランドに育て上げた。今や母国オーストラリアを始め世界中のセレクトショップや高級デパートに売り場を構えるが、ブリジットさんはRHC ロンハーマン船橋店をとても気に入ったよう。「ショッピングモールというロケーションですが、ベイエリアらしい開放的な空気を感じさせてくれます。地元のシドニーのような雰囲気」


そのようなブリジットさんの想いを実現させたのは、ある生地との出合いでした。「ネオプレンです。合成ゴムの一つですが、とても軽く耐久性がありクッション性もあります。仕上がりも美しく、バッグの素材として完璧だと感じました。信頼できる生地製造工場で、より柔らかく肌触りのよい、バッグを製造するのに最適な生地をつくってもらいました。私たちの理想にかなう生地ができるまで、1年も試行錯誤をしましたが」。ネオプレンはスポーツや医療、工業の分野で活躍してきましたが、今ではファッションの世界でも人気の生地です。その先駆けとなった一つが、STATE OF ESCAPEなのです。実はブリジットさんとネオプレンとのつながりは幼少期にさかのぼります。



RHC ロンハーマン別注カラーのバッグやバッグチャームなど、ここでしか手に入らないアイテムも。チャームやスモールサイズのポーチは、バッグをつくる際に出る端切れや余剰分をアップサイクルしてコレクションに。2024年、STATE OF ESCAPEのサステナブルなものづくりが評価されて、厳しい条件が必要とされるアメリカの環境団体「B Lab」が運営する「Bコープ」の認証をえた


「私は西オーストラリアの出身で、海の側に住んでいたので常に自然に囲まれて育ちました。休日はいつも海の上、サーフィンを楽しんでいましたから。だから、ネオプレンでできたウエットスーツはとても身近な存在だったんです。20代でシドニーに移り住みましたが、海とともに暮らすことはいつも心の中にありました」。STATE OF ESCAPEのデザインを特徴づけている一つが、持ち手で使われているロープです。このユニークなアイデアもブリジットさんの暮らしから生まれました。「父はセーリングを楽しむ人でしたから、セーリングロープも常に身近にありました。バッグにセーリングロープを使うことは、一般的には思いつかないのでは」。STATE OF ESCAPEは、ブリジットさんの人生そのものといっていいかもしれません。

それは「STATE OF ESCAPE」というブランド名にも込められています。直訳をすれば「逃避した状態」という意味になりますが、実はブリジットさんのポジティブな生き方を表しているのです。「“ESCAPE”は単なる『逃げる』という意味ではありません。それは心の状態だったり、人の五感だったり、日々経験していることすべてを含んでいます。日常の中での一つ一つの瞬間に、まるでどこか別の場所へ瞬間移動したような感覚を持って、喜びを感じるという意味を持っているんです」。



「今後は、新しいことにチャレンジするよりは、とにかく持続させていくことに重きを置いていこうと思っています。お客様の価値観に見合う製品をつくり続けることが大切。10年後、その先の10年も、ずっと人気を保ち、価値のある製品として受け入れられてほしいと思っています。なぜならそれこそが皆さんがSTATE OF ESCAPEのバッグを持つ目的だから。それ自体が大きなチャレンジであり、やりがいのあることです」

ブリジットさんにとっての“ESCAPE”は自然の中に身を置くことだそう。「いつでもそのような時間を持ちたいし、そうすることができると考えています。私にとって、とても心が落ち着く時間なんです」。こよなく自然を愛するだけに、STATE OF ESCAPEでは環境に負荷をかけないものづくりに心がけています。「私たちは人々と地球のためによりよいことをする努力を続けてきています。最高品質の素材のみを使用、地元でオーダーメイド製造、長持ちするデザインと製造、需要以上の製品をつくらない……。自然から多くのインスピレーションをいただいているので、それを守ることは自分たちの責任です。トレンドに左右されてワンシーズンだけで終わってしまうような製品は生み出しません。ネオプレンでどのようなバッグができるのかを常に想像して取り組んでいます」。


「私たちとRHC ロンハーマンには驚くべき共通点や相乗効果があると思います。どちらのブランドも自信と幸福を感じさせてくれるからです。生活自体を美しく、そして目的意識を持つことで、毎日をスペシャルに感じさせてくれます」


目を輝かせながら、いつまでもショップ・イン・ショップを見回しているブリジットさん。最後にRHC ロンハーマンのお客様にメッセージをいただきました。「10年以上にわたって、日本のお客様とファンの皆さん、そしてRHC ロンハーマンと、とても良いつながりを持ち続けています。大きな喜びですし、心から感謝しています。通りを歩いていて、私たちのバッグを持っている人々を見かけたときほど、大きな喜びを感じることはありません。追いかけて行って、写真を撮らせてもらいたいと思うほど。だからこそ、日本は大好きですし、何度も足を運んでしまうんです」。STATE OF ESCAPEとともに、自分だけの特別な瞬間にエスケープしてみてはいかがでしょうか。

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