Style is everything. ——サーフィンの世界で、よく使われる言葉だ。スタイルこそ、すべて。サーフィンは他のスポーツやアクティビティと異なり、他者と競ったり、勝負をすることだけを目的としていない。センスと才能にあふれたサーファーが波の上で見せるスタイルは、アーティストのクリエイションやミュージシャンのパフォーマンスのように人の心を動かす。サーフィンにおいて、「スタイリッシュ」という表現が最上のほめ言葉なのだ。

RHC ロンハーマン七里ヶ浜にて行われた「LOG RAP3」の世界初となるプレミアム上映に多くのファンが集まった
今のサーフシーンでスタイリッシュなサーファーを想像するならば、「LOG RAP」(ログラップ)と「MOON WETSUITS」(ムーンウエットスーツ)のメンバーたちだろう。LOG RAPは、サーフィンの映像制作からスタートしたビデオコンテンツスタジオかつライフスタイルサーフブランドだ。これまで同名のシグネチャームービーも制作して、海外でも上映会を開催してきた。LOG RAPが注目を浴びているのは、シングルフィンロングボーディングとヒップホップやラップの音楽を組み合わせた独自の世界観だ。これまでのロングボードムービーはジャズやアコースティックサウンド、いわゆる「メロウ」なBGMが主流だった。だが、LOG RAPはそこを踏襲しながらも、独自の音楽性を追求している。また作品には海とは関係ないストリートやボクシング、バスケットボールの映像も挿入して、まるでミュージックビデオのようにテンポよく楽しめる。
もちろん、映像の主役はサーファーたちだ。フィーチャーされているのは世界トップクラスのロングボーダーばかりだが、これまで多く登場してきたのがMOON WETSUITSのライダーだ。MOON WETSUITSはJoel Tudor(ジョエル・チューダー)がプロデュースするウエットスーツブランドだ。ジョエルといえば、1990年代から現在にかけて世界のロングボードシーンを牽引してきたサーファーだが、スモールウェーブからビッグウェーブまで、リラックスかつスムーズに波に乗る姿は「スタイリッシュ」そのもの。そのジョエルが認めたサーファーたちが、MOON WETSUITSのメンバーなのだ。役者と舞台がそろったLOG RAPが、注目されるのも納得がいく。
夏を間近にひかえた土曜日、鎌倉のRHC ロンハーマン七里ヶ浜店は多くのギャラリーの歓声に包まれた。LOG RAPとMOON WETSUITSの面々が、最新作『LOG RAP 3』を携えて来日。世界に先駆けてのプレミア上映、そして、LOG RAP×MOON WETSUITSのカプセルコレクションをリリースしたのだ。今回のプロジェクトについて、LOG RAPのRyan Cannon(ライアン・キャノン)に話を聞いた。

Joel Tudor(ジョエル・チューダー)がプロデュースする「MOON WETSUITS」(ムーンウエットスーツ)のライダーたちもゲストで訪れた。ジョエルの長男Tosh(右・トッシュ)と次男Judah(右から2番目・ジュダ)も、父親譲りの才能の持ち主だ
——ライアン、日本へようこそ。改めて、LOG RAPのコンセプトを教えてもらえるかな。
友人たちのサーフィンを撮影して、その映像をインスタに投稿していたことから始まったんだ。ただ、それを自分個人の名前で発信するのではなく、一つのメディアとして発信したいという思いがあった。最初から目指していたのは、メディアカンパニーを立ち上げること。自分が友人たちを撮影することもできるし、でも常に自分が撮影者である必要はない。みんなのフッテージを集めて、それをまとめて、本当に素晴らしいロングボーディングを紹介できるプラットフォームをつくりたかった。
——出身はカリフォルニアだよね。
いや、ニューヨーク出身、そこでラップやヒップホップに出合って、そういう音楽を聴いて育ってきた。18歳のときに大学進学でサンディエゴに移った。そして、そこでLOG RAPの撮影を始めたんだ。ニューヨークで育つ中で大好きになった音楽と、サンディエゴで撮っていたサーフィン。その二つを結びつけることが、LOG RAPの出発点だった。
——なるほど。サーフィンはサンディエゴで始めたの。
いや、ニューヨークだよ。14歳のときだね。ショートボードの世界大会が開催されて、たくさんのプロサーファーが集まった。そのとき、ハリケーンでいい波が立っていてサーフィンを始めたい、と思ったんだ。それで波乗りにハマって、カリフォルニアの大学に進学したんだよ。

「LOG RAP」(ログラップ)をスタートさせたRyan Cannon(ライアン・キャノン)。2016年からインスタグラムで映像を発信し、2019年にはビジネスとして軌道に乗せた。現在はサンディエゴ・ラホヤの自宅兼スタジオで制作活動に専念している
——なぜ、ロングボードとラップを組み合わせたのかな。
単純にそれがユニークだったから。それ以上に、まったく異なる二つの世界が並ぶという感覚が好きだった。まったく違うものなのに、ときにはすごくうまく機能する。その感じにひかれた。自分にとっては、これまでとは違うやり方でサーフィンを見せるための、とてもユニークな方法だった。やっぱり一番大きいのは、そのコントラスト。まったく違う二つのものがぶつかり合うことが、自分がこれをやりたいと思う理由だね。
——『LOG RAP 3』は、これまでの1作目、2作目と何が違うんだろう。
『LOG RAP 3』がユニークなのは、最初の2本がほとんどカリフォルニア中心だったのに対して、3作目はカリフォルニアの映像も少し入ってはいるものの、主に世界各地で撮影されているところだね。これまでの作品に出ていたサーファーたちも登場するけど、今回は彼らが南アフリカ、オーストラリア、メキシコなどでサーフィンをしている。これまで以上に国際色の強い作品になっている。

MOON WETSUITSのライダーたちの人気もあり、会場は満員に。彼らが着ていたRHC ロンハーマンのエクスクルシーブのコーチジャケットやTシャツ、フーディも注目を集めていた
——今回のRHC ロンハーマンとのプロジェクトのきっかけは。
『LOG RAP 2』のイベントをRon Herman「R」と一緒にやったとき、本当にすごく楽しかった。だから『LOG RAP 3』では何か特別なことをやりたいと思った。そこで、「MOON WETSUITSとのコラボレーションをやろう」「服もつくろう」という話になったんだ。
——デザインはライアンが手がけたのかな。
デザインを担当したのはウィル。LOG RAPのヘッドデザイナーで、服のデザインはすべて彼がやっている。4歳からの幼馴染だよ。RHC ロンハーマンと仕事をするたびに、本当に特別だと感じる。だからこそ、『LOG RAP 3』のワールドプレミアも一緒にやりたいと思ったんだ。今まで仕事をしてきた中で、RHC ロンハーマンほど素晴らしいチームはない。何をやるにも本当に的確で、すべてがスムーズなんだ。いつもは自分とウィルの二人でポスターを貼ったり、必要なものを準備したりしなければいけないんだけど(笑)。日本でLOG RAPを展開するなら、できることはすべてRHC ロンハーマンと一緒にやりたい。それくらい大好きだよ。
——どうも、ありがとう。最後に日本のファンにメッセージを。
まず僕たちの映像を楽しんでほしい。そして、僕たちがつくっているプロダクトもね。今、サーフ業界は常に変化しているけれど、そんな中でも大事なのは、できる限り純粋に波乗りを楽しむことだと思っている。スポンサーを獲得するとか、大会で勝つとか、そういうことばかりを目指すのではなく、サーフィンそのものの楽しさのために波に乗ってほしい。みんながそういう気持ちでサーフィンを続けていけば、きっとうまくいくと思うよ。

イベント中は終始ご機嫌だったメンバーたち。次回作『LOG RAP 4』を期待するとともに再来日する日が楽しみだ
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