美しく、スタイルあるサーフィンで人々を魅力し続けるカリフォルニアを代表するレジェンドサーファー、デヴォン・ハワードとRHCが一緒につくりあげた特別なコレクション、Devon Howard for RHC / California Winter Collectionをローンチしました。そこにはサーフィンと共に歩んできたデヴォンの哲学が表現されています。
ローンチイベントのためにカリフォルニアから来日したデヴォン・ハワード。今回のコレクションに込めた想いを語ってくれました。
「マリブで一緒にサーフィンをする友人のフォトグラファーからRHCの話を聞いたことからすべてが始まりました。RHCのスタッフと実際に会って話をすることで、考えやフィロソフィーを知ることができて、僕が大切にしているものと共鳴するところがあったのです」
今回のコレクションが実現するまでの経緯を訊ねてみると、デヴォンはこう答えてくれました。デヴォンが強調していたのはオーガニックなリレーションシップから生まれたパートナーシップだということ。有機的な繋がりで出合ったRHCのハートの部分に共鳴してくれたことで、このコレクションが実現したのです。
「僕たちに共通している点の一つにクオリティへのこだわりがあります。それは日本人のモノづくりに対する価値観にも共通していると感じます。そして、シンプルというキーワード。僕自身、騒がしい場所や物があまり得意ではないのでね。シンプルで洗練されたクオリティの高いものにこだわること、その価値観が一致しました」
1960年代にサーファーの人気を得て、その後数十年にわたり時代を超えた定番アイテムであるウールシャツ。ウールとポリエステル、ナイロンの混紡生地を採用することで、滑らかかつ保温性高く仕上がっている。
California Winterからの色合いを使用した限定のサーフボードコレクション。チャネルアイランズ・ヘッドシェイパーのブリット・メリックが手がけたCI トライ・プレーン・ハル・シングルとCIミッド・ツイン、そしてレジェンドシェイパー、ウェイン・リッチがシェイプしたCI ログ。
「California Winter Collectionの特徴にクオリティへのこだわりがあります。僕の父親はカーペンターだったこともあり、何事にもクオリティを求める人でした。長持ちしてディテールにこだわったものを作ること。そういう価値観が自分のDNAにあります」
California Winter Collection は「Surf Look」をキーワードにして、シンプル、上質、定番、快適をテーマにモダンなスタイルに仕上げ、全6型をラインナップしています。
冬のカリフォルニアで海に行き、仕事をして、子どもを迎えに行き、ディナーを楽しむ。そんな様々なシーンでシームレスに活用できるようなイメージで作られました。
「コンフォータブルであること、そしてタイムレスなことを重要視しました。5年後でも10年後でも着られるようにね。僕が大切にしているフィロソフィーに「Less is More(少ないほうが豊かである)」というものがあります。洋服もたくさん買うのではなく、本当にいいものを買って長く愛用してもらいたいと思っています」
そのフィロソフィーはカラーにも反映されています。色数を極限まで少なくしたキーカラーである白と黒には、かつてカリフォルニアのハードコアなポイントにいたサーファーたちに抱くデヴォン自身の憧れも反映されています。
「白いボートと黒いウェットスーツ。60〜70年代頃の僕にとって憧れのサーファーたちはそういうスタイルでした。そして、黒と白はどんな時でも着ることができる、タイムレスなものですからね」
左上/デヴォンと友人のフォトグラファーとの関係からコレクションが生まれた。「彼とは海では前乗りされたり、したりする仲だね(笑)」とデヴォン。左下/3つのブランドロゴから模様が始まり、人が交わることで生まれるエネルギーを表現している。右上/キーカラーは白と黒。LOOK BOOKの写真もモノクロで統一された。右下/ロンハーマン千駄ヶ谷店『R』で開催されたトークショーでは多くの人がデヴォンの言葉に耳を傾けた。
サーフボードはツインフィンとシングルフィンのミッドレングス、そしてロングボードの3種類がラインナップ。チャネルアイランズで製作された3つのサーフボードはどれもデヴォンのサーフィンを語る上でアイコンになるようなボードデザインだ。
「シェイパーはブリット・メリックとウェイン・リッチの2人。ウェインとは世界で一番クオリティの高いロングボードを作ろうと話しました。クラシックなライディングもできますがハイパフォーマンスでもあり、自分が思い描いたように動いてくれるボードです。世界中のベストライダーたちが乗りたいと思えるボードができたと思います」
デヴォン・ハワードという人物を語る上で代名詞のようになっているのが「スタイル」ではないでしょうか。スタイルを追求し続け、カリフォルニアのサーフィンカルチャーのクオリティを高めている一人であることは間違いありません。
60年代のアメリカ東海岸で初めてのプロサーファーとなった母親のお腹の中にいる時から波に乗っていたデヴォンは、ずっとサーフィンのある人生を歩んできました。
「僕にとってサーフィンは宇宙の旅です。生まれ育ったサンディエゴの波が僕のアイデンティティをつくりあげました。明確に言語化をするのは難しいけれど、ずっとスタイルに惹かれているんです。スタイルというのはサーフィンに限らず人間の歴史の中で常にある存在。神話の神々の銅像も、闘牛士の華麗なステップもね。スタイルはただ単にポーズをするっていう訳じゃなくて、自分が感じている、言葉にできないものを自分らしく表現することでもあって、人間にとってとても大切なものだと思っています」
コレクションのローンチイベントのために来日したデヴォンは、トークショーの最後にCalifornia Winter Collectionに込めた想いと自身の哲学を表現する、こんなメッセージをシェアしてくれました。
From Master to Apprentice.
From Shapter to Surfer.
From Father to Son.
師から弟子へ。
シェイパーからサーファーへ。
父から息子へ。
Discover your Hero’s Heroes.
自分のヒーローが夢中になったヒーローに出逢ってみよう。
Respect the beauty of the breaking wave.
It has traveled the ocean to meet you.
ブレイクする波の美しさに敬意を払おう。
あなたと出逢うために遥か遠い海を旅してきたのだから。
You honor surfing through your choice of Line.
サーフィンへの敬意は自ら描くラインで表現する。
Point style could have happened anywhere.
It chose California.
ポイントスタイルは世界のどこで生まれてもおかしくなかった。
それでも、カリフォルニアを選んだ。
When one envisions California Surf Style, one conjures restraint.
カリフォルニアのサーフスタイルと一言で表すと、
「冷静な抑制」かもしれない。
The point wave aesthetic is quiet. Accomplished. Tailored.
ポイントの波の美学はその静けさにある。
洗練されていて、簡素である。
On surfing: When many are yelling, the quiet one stands out.
海で周りが叫んでいる中、
静かな者の存在が際立つ。
デヴォン・ハワード
カリフォルニアを代表するレジェンドサーファー。名作とされる『One California Day』など多くのサーフムービーにも出演し、卓越したサーフスキルはミッドレングス、フィッシュ、クラシックロングボードと幅広く乗りこなす。WSLロングボードツアーのディレクターを務めるなど、数々の功績を残す。2018年にチャネルアイランズのマーケティングマネージャーに就任。共同開発したサーフボードの「CI Mid」、「CI Log」は世界中のサーファーを魅了している。
(クレジット)
text:Takuro Watanabe / Photo:Rai Shizuno
Journal
15 Devon Howard for RHC
デヴォン・ハワードのフィロソフィー
RHC Journal
Posted on Oct 31.2023
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